過去に似た日経平均の状況は?
伏見さん: 鈴木さん、最近の日経平均ってすごく高いですよね。これって過去にも同じようなことがあったんですか?
鈴木さん: そうですね、2024年に日経平均が40,000円を超える水準に達していて、これに近い状況はバブル経済の1989年から1990年頃に見られました。当時、日本の経済は非常に好調で、日経平均も史上最高値の38,915円を記録しました。今の状況と似ている点としては、円安と金融緩和政策が共通していることです。
伏見さん: じゃあ、今とその時の状況は似ているけど、バブル崩壊もあったって聞きますよね?今後も同じように下がる可能性はありますか?
鈴木さん: そうですね、確かにバブル崩壊後は大幅な下落がありましたが、2024年の状況は当時と少し違います。今の上昇は企業の業績改善や海外投資家の流入も影響しています。それでも、過去に急激に上昇したときには調整(つまり、一時的な下落)が起きやすいという点では、慎重に見守る必要があります。
今後の日経平均の見通し
伏見さん: 今後の日経平均はどうなると思いますか?
鈴木さん: これは難しい質問ですが、いくつかのポイントを押さえると予測しやすいです。テクニカル分析で見ると、日経平均は現在、40,000円という大きな抵抗線に差し掛かっています。このラインを突破するかどうかが重要なポイントです。過去のパターンでは、こうした大きな抵抗線を突破できないと、短期的な調整が起こりやすいんです
伏見さん: 調整っていうのは、株価が下がるってことですよね?
鈴木さん: そうです。市場が上がりすぎたと感じた投資家たちが利益を確定させるために売りを出すことで、短期的に株価が下がることが多いです。ただ、長期的には円安の継続や日銀の金融緩和政策が続けば、輸出企業の業績がさらに伸び、再び上昇する余地もあると見られています(
伏見さん: じゃあ、今は大きく動くかもしれないタイミングってことですね。
鈴木さん: そうですね。特に7月以降の日銀の政策変更や世界的な金利動向、経済成長のペース次第では、上昇するか、あるいは短期的な調整に入るかが決まるでしょう。
まとめ
鈴木さん: まとめると、現在の日経平均は1989年のバブル期に似た高水準ですが、今後も上昇するか調整が入るかは、テクニカルな抵抗線や日本の金融政策、そして円安の動向次第です。過去と同様に大きな調整が来る可能性もありますが、長期的なトレンドを見守ることが大切です。
伏見さん: よくわかりました!これからも注目ですね。
現在の日経平均がバブル経済時(1989年頃)に近いと言われる状況にはいくつかの共通点がありますが、具体的に異なる点も多く存在します。以下に、その主な違いをわかりやすく説明します。
バブル経済の1989年から1990年と似ているが異なるところは?
共通点
- 株価の高騰
- 現在の日経平均は40,000円を超える水準にあり、これは1989年のバブル期に記録された38,915円に近い状況です。両方の時期において、株価が急速に上昇していることが共通しています(Invesco)。
- 円安の影響
- 現在もバブル期同様、円安が進行しており、特に輸出企業の利益を押し上げています。円安による輸出企業の収益向上が、株価上昇の一因となっています(Siblis Research)。
異なる点
- 金融政策の違い
- バブル期: 1980年代後半のバブル時には、日銀が過度に低金利政策を実施しており、不動産や株式市場に多額の資金が流れ込んで、過剰な投機が起こりました。その結果、株価や土地の価格が急騰しました。
- 現在: 現在も低金利政策が続いていますが、日銀は過去の反省を踏まえ、金融政策には慎重です。大規模な緩和政策は行われているものの、当時ほどの過度な投機は抑制されていると見られています。また、インフレを抑えるために、世界的に金利が引き上げられている状況も違いの一つです。
- 企業の体力・利益構造
- バブル期: 当時は、日本の企業は急成長していたものの、その成長はしばしば過剰な借入に依存しており、財務の健全性が弱い企業も多く見られました。また、株価上昇が実体経済と乖離し、不動産投機が主な要因でした。
- 現在: 現代の企業は、バブル崩壊後の苦しい時期を経て、財務体質が強化されています。企業の収益は実際の業績改善や輸出拡大に基づいており、1980年代のような投機主導の上昇ではなく、より健全な収益基盤が背景にあります
- グローバルな要因
- バブル期: バブル期には、日本国内の投資家や銀行が株式や不動産に多くの資金を投入していました。日本市場は、国内要因によって大きく動いていました。
- 現在: 今日の日経平均は、海外投資家の影響が非常に強く、グローバルな市場環境や米国の金利動向、為替相場が大きく影響しています。特に、外国人投資家が日本市場に資金を流入させているため、国際的な影響力が大きくなっています。
- デジタル化の進展
- バブル期: 1980年代後半には、IT産業はまだ未成熟で、日本の主要な企業は製造業や不動産業が中心でした。
- 現在: 現在では、テクノロジー企業やデジタル化が進み、株式市場においても、情報技術やAI、電気自動車などの新興産業が大きな役割を果たしています。これは、バブル期には見られなかった構造的な違いです。
まとめ
共通点としては、円安や株価の高騰が挙げられますが、大きな違いは金融政策の慎重さ、企業の財務健全性、そしてグローバルな要因の影響が挙げられます。現在の日経平均の上昇は、バブル期のような投機的なものではなく、より実体経済に基づいたものと言えるでしょう。
この違いを踏まえて、今後の市場動向を注意深く見守る必要があります。
今後の日経平均のテクニカル的な分析に基づく傾向を、以下のポイントに分けて説明します。
1. サポートとレジスタンスライン
日経平均株価は現在、40,000円のレジスタンスライン(抵抗線)**に差し掛かっています。この水準を突破できるかどうかが、今後の大きな分かれ道となります。もしこのラインを突破できれば、次の目標は41,000円以上に設定される可能性がありますが、逆にこのラインで抑えられる場合、調整局面が訪れる可能性も高いです。
一方で、下落が起こった場合、直近のサポートライン(支えとなる価格帯)は38,000円付近にあります。この水準まで下がると、再び反発する動きが出る可能性がありますが、これを下回るとさらなる下落に注意が必要です。
2. 移動平均線
テクニカル分析では、50日移動平均線や200日移動平均線などが重要な指標となります。現在の日経平均は、これらの移動平均線を大幅に上回っていますが、これも逆に「行き過ぎた上昇」と見なされることがあるため、短期的な調整が入るリスクが存在します。特に、50日移動平均線までの一時的な下落が起こることはよくあるパターンです。
3. ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、株価の上下の幅を測定する指標です。日経平均は現在、ボリンジャーバンドの上限付近に位置しており、これは過熱状態を示すサインとも取れます。この状態が続くと、次にバンドの中間線や下限に向かう調整が入る可能性が高いです。これが実際に起こる場合、短期的な下落が予測されますが、バンドの幅が広がっているため、長期的にはトレンドが続く可能性もあります。
4. RSI(相対力指数)
RSIは、株価が過熱しているかどうかを判断する指標で、通常70を超えると「買われすぎ」、30を下回ると「売られすぎ」と判断されます。現在の日経平均のRSIは70に近づいており、これは短期的には買われすぎの状態を示唆しています。そのため、一時的な売り圧力が高まる可能性があります
5. 出来高(取引量)
最近の上昇局面では、出来高が増加しているため、上昇トレンドに対する強い支持があることを示しています。しかし、もしこの上昇が出来高の減少を伴うようであれば、上昇が一時的である可能性が高まります。出来高が伴わない上昇は持続力が低いことが多いからです。
今後の見通し
これらのテクニカル指標を総合的に見ると、日経平均は短期的には調整局面に入る可能性が高いです。特に、40,000円という心理的な節目を超えるかどうかが注目点です。一方で、企業の業績や円安が引き続き支持される限り、中長期的には上昇トレンドが継続する可能性も十分あります。
したがって、短期的な調整に警戒しつつも、長期的なトレンドを見守る姿勢が重要です。
コメント